Akari

marinosのことがメインなはず

映画『BLUE GIANT』感想

涙が流れたのは悲しいストーリーが起因だったかもしれないけれど、それ以前から涙腺に刺激はあった。感動のストーリーで泣かされる映画は多数あれど、ストーリーの眩しさで涙が落ちる映画は傑作しかない。この作品は傑作に近い作品になっている。以前原作漫画を読んで記憶は微かにある。ぼんやりイメージしたときにこの映画は二つの点で成功している。まずは切り抜き方。これだけ原作を大胆に切り取り、端的にしているにも関わらず、展開のハイライトになっていない点が偉大である。ここでの成功ポイントは主人公を無敵にしたことだ。原作では主人公も少なからず人間として葛藤して成長している。しかし映画ではそこはほのめかされているが描かず、ピアノとドラムの葛藤をメインにしている。主人公はこの作品内でずっと正解でずっと強い。ルフィとして置いている。持たざる者のドラムの葛藤と、才能のあるピアノの葛藤、トップオブトップの才能とメンタルを備えた主人公の周りに注目を置くことで展開を最小限かついいとこどりでもハイライト感を少なくできている。二点目はもちろん演奏シーンだ。この作品は原作を読めばストーリー上はより多くの理解と感動を得ることができる。漫画原作映画はそれが基本で、漫画>映画になる。ただこの映画は演奏シーンの素晴らしさで漫画の満足度を超えてさえいる。良作の漫画が映画になって傑作になる。漫画≦映画になっている。演奏の「音」に重きを置くのはまだわかる。この映画は音も素晴らしい。おそらく有名演者が関わっているのであろう。ただその音に伴う、画もまた素晴らしい。一枚画でも作品になるようなレベルの画が連続となり、迫力になる。色まで展開や音にマッチしていく。それは音楽芸術であり絵画アートでもあった。原作映画の重厚感を端的に成功しつつ、そのストーリー展開を迫力の音にのせ、絵画作品の映像にしたこの映画。限りなく傑作に近いといえる。