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【最遅】23年横浜F・マリノス全選手評 ~24年展望を添えて~【他サポ歓迎】

2024年開幕後におくる、2023年マリノス全選手の個人評。

#2023横浜FMでXにあげた内容をまとめただけ。

 

 

GK

一森純

俺やっぱ米メジャーでやりたい。開幕直前の正守護神のご乱心FA宣言からすべては始まった。スーパー杯から開幕数試合をオビでごまかしつつ連勝し、あれオビでもいけるんじゃねと思ったタイミングで舞い降りた31歳J1経験少なめGK。31歳J1経験少なめGKが加入直後開幕3試合目でここまで問題のなかったオビを押しやり先発。高丘より前のマリノスGKらしいとち狂ったポジショニングからの攻めのパスチョイスを披露するも、連携不足でその攻めのパスのリスクが分散できずピンチも隣り合わせでマリサポハラハラ。ただここからの伸びがエグかった。一森は試合中のネジの外れたプレーぶりに反して、常に謙虚でベクトルを自分に向けることで成長し続けられる、さらにポリシーに固執しない柔軟性のある選手だった。移籍直後ミドルパスがすべて高めのロブになり、低い弾道で蹴れる高丘を恋しくなったが、後半戦ではばりばり低弾道で刺していた。自分にも他人にも厳しい意識高い系で仲間にキレ散らかしている時期もあったが、チームのためにならないと悟ってからは冷静にポジティブに後ろから支援した。基本はボールパーソンを急かしながらリスタートは早くだが、ときにはスピードをあえて落としたときもあった。シーズン後半の一森のコメント「必死についていく日々。そして、そこから逃げないことの繰り返しでここまで来た」。マリノスは良いキーパーを獲得したんじゃない。マリノスとともに成長できるキーパーを獲得した。おまけだがPKもやたら止めた。足元系キーパーがPKストッパーって世界的にも聞いたことがない。今季はいない。寂しいけれど期限付きという難しい立場でもすべてをマリノスに尽くしてくれた一森にはまず感謝を示したい。

 

オビ・パウエル・オビンナ

スーパー杯からの開幕連戦での勇姿も、第3GKになってからかろうじて出場したカップ戦での自信無さ気な様子も、どちらもオビなんだと思う。22年ずっとチームを裏から支え続けて、23年急な高丘移籍でこぼれてきた機会。こちらの不安をよそに堂々とビルドアップに取り組み勝ちを引き寄せる姿に、オビがしてきた努力とチームへの姿勢はちゃんと報われるんだと、俺達は嬉しくなった。ただ、そこまでだった。一森と飯倉が来て状況は戻るどころか厳しくなった。一森の活躍を喜びながら心のどこかにはオビへの想いがあった。THEDAYなどで垣間見える様子はいつものチーム想いのオビだった。でも開幕3戦を経たからこその立場への想いがあったはず。捧げてきたものとこの結末。オビが選んだ前年チャンピオンへの移籍もどこか理解できてしまう自分がいる。でもだからこそ捧げてきた貢献をマリサポはそう簡単に忘れないよ。

 

飯倉大樹

飯倉とマリノスの相思相愛のストーリーは高丘事変とともに続きが紡がれた。ビルドアップ時のイカれたポジショニング、スルッと決められるシュート。どれも懐かしかった。一森の怪我後、飯倉が守ったリーグ戦4試合は、いま振り返るとなかなかのターニングポイントだったと思う。アウェイG大阪戦は多幸だった。相手の付け焼き刃プレスをワンフェイクで剥がして楽しそうにボールをつけ、勝利に貢献。そしてFC東京戦まではよかったが、下位横浜FCと柏に連敗はチームとして痛かった。しかし、バックアッパーとして飯倉がいることの心強さは絶大でオビですら敵わなかった。さて24年、どんなストーリーにしていこうか。個人的には飯倉に頼らない年であることを願う。飯倉以外が未知数な現状。そこから各々が成長を見せ、2ndGKにも飯倉が入れない状況になれば、自ずとマリノスGKのレベルは上がったことになる。そんな様子をみて、飯倉がニヤニヤしながら「おまえらやるじゃねーか」と言ってくれたら、きれいな完結編ら近づくはずだ。それが叶わなければ飯倉がバリバリ活躍すればいいだけ。どちらにしてもいるだけで価値な存在であることは今も昔も変わらない。

 

白坂楓馬

激動のシーズンで唯一わからなかった選手。スーパー杯でベンチだったことを考えるとどんな未来もあり得た。インタビューなどに触れる限りマリノス選手らしいどんな立場でもチームのこと考えられる好青年。新シーズン、どこかで来るはずの機会で奪える大きな未来があるか。

 

 

DF

畠中槙之輔

畠中がボールを受け、足裏で止める、ルックアップしてパスコースを探す、右の松原が空いていても狙われるから出さない、相手を引き出すために一回渡辺皓太に当ててボールが戻ってくる、また足裏で止めて少し持ち出す、難しくても最もチャンスの可能性が大きいパスコースが見えたときに綺麗な縦パスを刺す。22年の悔しい想いからの23年開幕から連続フル出場、前半戦は畠中が示した道がマリノスの正解になっていた。開幕から16試合連続フル出場、その後、柏戦途中交代後なぜか数試合上島が先発に。また先発に戻ってから3試合目で大怪我をした。怪我の前から少しだけ歯車は狂っていた。怪我をしたFC東京戦のプレーがずっと頭に残っている。前半から余裕がなさそうで無謀なトライと不要なセーフティが散見。スタジアムで観ていて、え、そこ無理して突っ込む必要なくないか?と思ったプレーで大怪我を負った。THE DAYで前回の大怪我からのリハビリはもう見ていたからまたあの日々を与えるのかよと小池龍太とともに泣いた。19年はチアゴとの補完性に優れ優勝を成し遂げた。大津や扇原など陽キャの献身がマリノスを支えてきたことも見てきた。代表キャップだって10になる。何度となく怪我と戦ってきた。これまでで得てきた散らばった経験のパズルを綺麗にまとめられたとき、畠中がマリノスの中心になり優勝に導く。代表で違いを感じた元川崎谷口になれる。決してメンタル的に強いわけじゃない。まだまだな部分もある。それでも自分は畠中が好きで、ずっと見てきて、マリノスのDFラインを畠中が統率して支える絶対的な存在になる未来を信じている。

youtu.be

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松原健

あれ、今季のマツケンはいつもと違うな、いやちょっと待て、違うどころから凄みすらでてきてないか。大人になりすぎたあなたにみんな焦ったのよ。元々気分屋さんでいいときはいいけれど、目立ちたい欲が一定を超えると、とにかく内に入り足の長いパスやシュートを狙いすぎていた。そのせいで右からのビルドアップ経路はなくなり、どこかでパスが引っかかると広大なスペースを与える結果に。今季序盤はそんないつものマツケンだったが、小池龍太が大怪我をしたのもあってか責任感が急遽開花。開花後の試合後コメント抜粋。「左サイドからクロスを上げられたときの中でのポジショニングに気を付けた。」「今日は内に絞っても相手がつられないからしばらくは外にはっていた。」「エネルギーをコントロールしながら使って、自分のところで交代枠を使わないように」「縦パスを入れ過ぎてもだめ、相手を引き出してからスペースを使うべきだった。」「点を取られてガムシャラになりすぎた。いったん落ち着けば周りが見えてくることもある。」どどどどどどどどなたのコメントですかこれは。劇的に変わったのはアラート意識。状況を認識し、予測し、準備する。神経を研ぎ澄まし、いまチームを好転させるためにすべきことを考え実行する。とりあえず何も考えず感覚的に前線内側をとるマツケンはいなくなった。30歳・ライバルの怪我・キャプテンマーク・大津や扇原や仲川はもういない、そんな環境も彼の進化に寄与したか。さらにここから根本のお調子者気質が良い方に働きだす。“あれこれ自分欲じゃなくてチームのためにを考えて行動すると物事がうまくいくな。”“あれこれ冷静に欲をおさえてプレーしているのに自然とシュートチャンスが増えるな。” そんなことに松原自身が気づいちゃったもんだから責任感がさらに青天井で爆発。怪我人続出下でも慣れないポジションの後輩をサポートしながらプレー。急造CBだって余裕です。喜田さんが熱くなり過ぎたときに落ち着けよと諭しちゃったり。サポーターを盛り上げちゃったり。自分にできるすべてをマリノスのために尽くしてくれた。その姿勢と成長はちゃんとこちらに伝わっていて多くのマリサポが感銘を受けたよ。最後新潟戦前後は前のめりになりすぎで従来のマツケンがでちゃったのはご愛敬。愛されながら尊敬される選手になってくれて俺も嬉しい、そんなマツケンと優勝したかったね。次だ次。

 

 

角田涼太朗(移籍決定前)

シャーロックやメンインブラックなどバディものの映画が好きだ。畠中の結婚式での「来年は俺らでマリノスを引っ張ろう」とあった自分宛のメッセージカードを常にバッグに入れている角田。二人の関係性的に畠中と角田はバディとしての魅力があると思っている。エドゥを押しのけて2人が開幕CBに名を連ねたときは感慨深いものがあった。ただそこからは展開は映画でもやりすぎだろと思うレベルだった。畠中右CBのコツつかむ→開幕同時先発→角田代表選出→怪我で角田代表辞退→復帰も角田不調に→角田中足骨骨折→角田戻ってきた試合で畠中靭帯損傷シーズンアウト→角田顎骨折シーズンアウト→とみせかけて角田最終盤で復帰。やりすぎだろこれ。最後右CBを左利きの角田がやったときのプレーぶりは19年優勝シーズンの右利き畠中が左CBをやっていたときのそれだった。海外からのオファー?渡邊泰基が前橋育英で角田と同学年?それはそれ。マリノスでのバディは畠中と角田。来季こそは2人がマリノスを引っ張ってくれるはずだから。背番号に3が光る前橋育英出身の足元の技術に優れて見た目はスマートだけど実は熱血漢プレーヤー。こんな綺麗な後継者がいるかね。今季示してくれたマリノス愛と熱血っぷりでマリサポが愛せないはずがなかった。技術面で言うと、マリノスDF陣で最もボールを前に運べる。クリアもパスにできるセンスがある。裏を取られたときのスピードはない。対人も若干怪しい。髪型はコロコロ変わる。なにより角田には度胸がある。ピッチに立ってしまえば何も恐れない。見ていると熱さと度胸にハラハラすることもある。ついでの自責思考が強く、不調期はそんなに自分を責めなくてもいいよと別の意味でもハラハラした。ただ最後の顎骨折からの早期復帰C大阪戦で、そんなハラハラも通り越して感服させられてしまった。「怖がることなくできてよかった」と笑顔で言い切る角田に、大人げなくグッと来てしまった。自責思考も持ち前の度胸で乗り越えてしまう姿はかっこよかった。筑波大からきたスマートな左利きプレーヤーは、見るものを魅了する熱さを持ったプレーヤーだった。悔しいシーズンだったと思う。けどあなたのその前向きな姿勢は味方とサポーターにどれほどの力を与えてくれたと思いますか。それを誇ってください。そして来季も #ずっと頑張ろう #ずっと応援します。

 

 

永戸勝也

後ろからつなぐセットオフェンスで隣がエドゥ、前がエウベル。なかなかの仕事である。FKも蹴れる左足の精度が武器の本格派SBと見せかけて、実はタイミングと思い切りに優れた縦横無尽なフリーランニング系SBである永戸君。目立った貢献ができるのは後ろでボールの「出し手」になるときではなく前線で「受け手」に回ったときなのだ。であれば、もうちょい、アシストやゴールなどの結果が欲しかった。ビルドアップがおぼつかない時間が長かった今季、永戸にボールに回ってくるときは中が詰まって繋げないしんどいタイミングが多かった。後ろにタッチラインがある中でボールを受けプレスの標的になりながらのプレーは精度にかけチームの手詰まり感は助長された。意外と時間が作れない、ミドルパス精度もそこまで高くない永戸の弱味が露呈した形だが、それは彼だけの責任ではない。永戸勝也はかっこいい選手だ。クレバーで自分の見られ方がわかっている。余計なことは言わない。飄々としながらちゃんと熱い選手は素敵だ。今季は苦しみながらも本当に耐えた。替えが利かない選手として10月のカヤ戦まで一人で左SBを戦い抜いた。もう少しで「悩みながらも主力として走り切ったシーズン」にできたからこそ、怪我が自分のことのように悔しかった。さて、2024年がSBができる左利きプレーヤーが激増するらしい。難局ですね。古巣鹿島戦勝利後挨拶に行きブーイングをくらった直後のこのポスト。「難局さえ、颯爽と。」彼らしい素晴らしいコピーだ。結局マリノスの左SBは誰がこようが永戸のものだ。

 

上島拓巳

シーズンの印象を振り返ると「上島君だいぶ真面目な子だったな」と。真面目にも種類があるけどわりと遊びのない堅めのそれ。右SBから始まり、徐々にCBの機会も増え、畠中怪我で更に絶対的になるかと思いきや意外とノリきれず、最後は負傷明け左利き角田に右CBを明け渡した。黙々と苦手と向き合いながら徐々にできることを増やす向上中状況では成果を見せながら、一旦安定すると物足りなさが露呈する。崩れると自責過ぎる性格で沼にハマる。強度面での存在感はさすがで、シーズン通してビルドアップ頑張ったが、エドゥと並ぶと手詰まり感は拭えなかった。ただ15節福岡戦でのゴール関与のプレーは素晴らしかった。右SBとして内寄りの、でも前のめり過ぎない立ち位置。もらってからすぐ出さず必要距離分持ち運んだこと。ヤンマテがちゃんと1on1できる良いタイミングでの適切なスピードのパス。上島が右SBでできるとこを真面目に考えたことが成果になった。24年は畠中の復活か上島の伸びか。どっちだってマリサポにはたまらない。マリノスは成長機会に溢れてる青春みたいな場所。真面目な性格を変えなくて大丈夫。割り切りさえ覚えればいい。それは生きるコツにもなる。堂々としたプレーをシーズン通してできれば上島個人もマリノスもどこだっていける。

 

エドゥアルド

大きな怪我はしない。試合中ガチギレしてても試合後ケロッと。でもミスは引きずる。出来ないことにはコツコツ向き合う。だからこそ一定の結果は残す。「計算できること」それがエドゥの価値だ。左足の高精度キックは得点直結もあるが、柔軟性はなくビルドアップは詰まる。23年つなぐサッカーへの切り替えでパスが永戸、エウベルにしか出せないことが判明。しかもパス出しで身体が開き方向バレバレでパスカット祭り。それでも、それでもエドゥは自分と向き合い、数試合後には足裏を使ってキープしてボランチにボールを当てて出し入れ、右CBへの並行パスも。それでもエドゥ経由でのビルドアップの限界はあった。と同時にカウンターで晒され最後までエドゥが粘って失点を阻止したことも何度もあった。しかも長期離脱は最小限で2年間出続けたことは何よりの価値だ。更にリーダーシップまである。エドゥのおかげで調子の悪いマリノスの落ち幅は最小限だった。24年のマリノスエドゥに頼り切りになるのか。左CBで誰かが伸び、エドゥがバックアッパーになればそれはそれで盤石じゃないか。そんな未来も楽しみにしながら。結局己と向き合いまたここから成長して先発に君臨するエドゥがいたらそれはそれで。

 

小池裕太

飄々としたAB型っぽい掴みどころのない性格も、ピッチ内では熱血不器用プレーヤー。機会を得た広島湘南連戦では連勝。しかし直後に大怪我。今季怪我人は多かったけれど、小池裕太は靭帯の断裂という特に大怪我だったことは覚えておきたい。広島湘南連戦では明らかに気合いが入りすぎていて、危なっかしいプレーが頻発で、後半は完全にガス欠。ただ色々考えるのは苦手だからとりあえず目の前のことを頑張ろうとするその姿勢に、マリサポとチームメイトは心打たれた。キック力やスピードなど単純なアスリート能力は左SB内でトップクラス。不器用で素直なプレーヤーにはタスクを平準化させて気持ちよくプレーさせることが基本。海外経験もあるまだ27歳。小池裕太のようなプレーヤーが使い方次第でマリノスのキーマンになる未来は来てもおかしくない。

 

實藤友紀

リーダー陣の支え役。實藤がマリノスにいてくれる価値でこの役割が最も大きいと思う。喜田や水沼や宮市が敬語で相談できる存在は貴重。話の聞き手になれて頭もいい。役割を理解してるから先発でもサブでもベンチ外でも姿勢はぶれない。選手としても一定水準のプレーができる。連戦でなくても70分で足が攣り、スコンと抜かれるシーンも増えた。プレーヤーとしてしんどくなりつつそれでも、ホーム札幌戦では喜田さんがかました超ハイラインでガンガン裏を取られてもなんとか耐えて、大勝に貢献し、大人の貫禄を見せた。24シーズンもマリノスリーダー陣が唯一弱音を吐ける相手として君臨してくれるはず。選手としてもまだまだ終わりじゃない。毎年1シーズンに一定期間實藤が必要となるときは必ずくる。そのために實藤は抜かりなく日々を過ごす。それを若手がみて触発される。そうやってマリノスの文化は継承されていく。

 

小池龍太

唯一出場したルヴァ鳥栖戦のたった45分でも、小池龍太がチームにいるのはこの感じだったわとしっくりできた。上島右SBからはじまり、海夏左SBで終わった、23年SB受難は、左右できる小池龍の年間不在が起点だった。それは獲得選手をみても24年の今にも尾を引いている。上島のような堅さはない、喜田と似たナチュラルボーンの真面目気質で戦術理解度高め。優しさに溢れ、同い年で誕生日も近い畠中の怪我時の涙は今季の個人的ハイライト。言語化好きで言葉(文字)量は多め。ロケレンでのしんどい経験はnote参照。小池龍太がいることで助けられるチーム戦術がある。助けられる仲間がいる。助けられるサポーターもいる。ボランチまで出来るから監督には大きな選択肢になる。小池龍太が戻ってからマリノスはより強く再スタートができる。でも焦らず無理せず万全で戻ってきてください。

note.com

 

加藤聖

YLCルヴァン札幌戦10分だけ出場。スローインが割と飛びますねくらいの印象のみ。23年は先発が長崎での1試合のみに終わった。24年は大卒と同い年扱い。既にJ2では21年は1000分、22年には2000分オーバーの出場実績もある。彼がマリノスの左SBを担うことも十分ありえる。

 

吉田真那斗

宮崎キャンプでの急な練習参加で掴んだ特別指定。リーグC大阪戦での急遽先発で内・外と小器用にプレーしていた姿が印象的。秘めたるスタミナやスピードや得点力を魅せるときがくるか。大人数スカッドで生き残れるのは結局機会を掴める選手だから。

ab-soccer.club

 

 

MF

喜田拓也

喜田さんは人格者なわけではないよ。荒いプレー多いし、審判への文句も結構言う。ただ優先順位は絶対に間違えない。マリノスが勝つための逆算から言葉と行動を選んでいる。ナチュラルボーンなリーダーで、チーム愛があっても自己愛は微塵もない。それが自分が大切で“やってる感”に逃げやすい俺たちに刺さる。ただ今季、個の強い選手たちをチームファースト文化を植え付けファミリーにすれば勝てる時期は過ぎてしまった。オフザピッチでの団結がオンザピッチに繋がらず苦労した。それでも前線のブラジル人と後方のDF陣の分断を繋ぎ止め続けてなんとか結果にしたのは渡辺皓太と喜田拓也の献身のおかげだった。喜田さんの技術面はすべて後付け努力型。ビルドアップ時に標的にされやすい戦術で、自分の技術の心もとなさを理解した上でもボールを引き出し、受け取り、意志で技術を超越し前を向いた。もちろん限界が見える部分もあった。喜田さんは常に自分でできることのマックスを示してくれるから、限界は本人の努力不足にはならない。むしろ限界が見えるということはそのギリギリのラインまで攻めた結果ともいえる。そしてときたま調子がいいとき喜田さんは“あれそんなことまでできたっけ”という限界超越をみせてくれる。ぼくらのリーダーはいつだって最強のリーダーだ。ハイライトはチームが不調と怪我人続出で苦しんだ札幌戦でのCB起用で見せた鬼のようなハイライン。前線で時間が作れないのに上げまくったラインで裏すっかすかピンチ連続もなんとかしのいで勝ち切った。何を言うかではない、俺らはこんなとき取るのはリスクしかないだろと後ろから示した姿勢は神々しかった。シーズン後半うまくいかない時期に喜田さんは“自分たちの力が足りないだけ、皆がマリノスであることを誇りに思って、どんなときも応援してくれるファンのためにプレーしよう”的なことを繰り返していた。結果論だが個人的にチームリーダーとして示したあの方針はチームにとってポジティブにはならなかったと思っている。マリノスファーストができあがっているチームにより大きなマリノスファーストを求めても限界があるし、内向きになりすぎるベクトルは自傷行為に近い。最終盤新潟戦で全員がマリノスのために必死に戦う姿勢は、試合展開も相まって苦しそうな印象も強かった。マリノスの真面目な選手たちなら少しくらい自分のために・楽しく戦ったってファミリーは崩れなかったんじゃないかなキャプテン。遠藤航リバプール移籍後ミスを繰り返しても「自分が足りない」とは絶対言わなかった。それは他責なんかじゃない、自分にベクトルを向け切った上での、どうしようもないことへの割り切りだ。自分が来季のマリノスの監督なら、スローガンは「マリノスを解放せよ」にする。そしてキャプテンは喜田にしない。もちろん水沼やエドゥにもしない。畠中あたりに任せる。それは喜田への諦めなんかじゃない。チームが喜田を頼り過ぎないことによる変化と、プレーイングマネージャー業務から少し離れることで喜田が何を見て何を感じ取るかが楽しみになるから。だってちょっと不安げな未来の方が楽しみじゃないか。最後に、これだけマリノスを強く応援できている期間にあなたがキャプテンでいてくれて本当によかった。でもあなたを高尚にし過ぎてもよくない。これまで喜田さんにどこまでもついていきますという思いが強かった、けどこれからは、喜田と一緒に歩んでいきたいと強く思っているよ。

 

渡辺皓太

自分は渡辺皓太に憧れている。どんなに優れた選手でも人間らしさが垣間見えるものだが、渡辺皓太はそれが極端に少ない。家族YouTubeをやっているのに、である。チームがうまくいかないとき、イライラせず、諦めもせず、やるべきことにフォーカスし続ける。スポーツ選手として他者には敬意を払い自分には厳しく向き合い続ける、マリノスで一番プロフェッショナルを感じる選手だから自分は憧れるのだ。ついでに25歳で3人のお子さんを持つパパなのも尊敬に値する。マリノスにきて年間通して主力として出続けたのは今年が初だった。その結果は2位に終わった。真のプロフェッショナルとしてサッカーやマリノスの勝利と向き合い続けられるなべこだから、この結果はめちゃくちゃ悔しかったはずだ。序盤から喜田とともにチームの心臓として出続け、神戸戦の同点弾もあり、夏場FC東京戦では野澤大志ブランドンから地を這うロングシュートを終了間際に突き刺した。インタビューでの言語化精度も上がり、試合中味方へ要求することも増えた。そのまま代表クラスへと突き抜けていく気配はあった。しかしそこからはチーム状態低下とともに“悪くはない”レベルのプレーが最後まで続いた。チームの好調に寄与できたがチームの失速に抗い切ることはできなかった。それでもシーズン中インタビューなどで渡辺皓太から発される言葉は個人とチームを正しく理解している人のそれだった。責任感を持ち仕事をし続けると人はここまで成長できるのかと驚くレベルだった。渡辺皓太を形容する言葉に「予測の速さ」がある。個人的には「逡巡のなさ」の方にも凄みを感じる。迷いがないから最初の2歩が速いのだ。フィフティの目の前のボールを奪い切るために、身体が大きくない自分はどうしたらいいのかを人生を通じて考え続けて得た、予測の力と迷いのなさは無意識発動レベルになっている。そんな武器とともに2024の渡辺皓太には「覚醒」を期待する。どこまでもいってくれ。年下のあなたをもっともっと憧れさせてくれ。

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吉尾海夏

断言する。今季J2のチームにいたら無双していた。海夏の武器は得点関与。シーズン通しての機会さえあればアシストもゴールも自然と伸びていたはずだった。昨季の機会がなさを見るに今季移籍していてもおかしくなかった。それでも海夏はマリノスに拘った。山田康太が着々と別の道を歩んでも、吉尾海夏は残った。その理由こそがマリサポが吉尾海夏を愛し続ける理由になる。吉尾海夏は己のサッカー人生での成功をマリノスで結果を残すこと、マリノスにとって必要な選手になることに置いてくれた。今季も前半戦出場時間がかなり限定的だった。その少ない中でも昨季とのプレーの質の違いは明らかだった。今季の海夏は日和らなくなった。パスを呼び込んだ。難しい場面でも前を向いた。プレーの質も強度も上がった。とにかく結果を残そうともがいた。明らかに飛躍のタイミングだった。なのに、なぜか序列は下がった。マスカットはだいぶ海夏を都合の良い男として使った。基本はベンチ外にしながら、ボランチ・トップ下・左WG・左SB、あるポジションで怪我人が重なったときそこに交代選手として海夏を置いた。ボランチで榊原より序列が下のタイミングもあった。あるときはトップまでもやった。そのとき海夏の動きを見て、マスカットはトップを落としてWGを高めにおいて引き付けながら進む今季のメイン戦術を思いついている。個人的に都合よく海夏を使うマスカットに不満を示し続けた。そんなとき左SBに怪我が重なった。もちろん都合よく海夏が途中出場で左SBとして使われ始めた。「でたよ、ボランチとかチームの中心で使っても活躍ができるのに左SBだよ。頑張ってるけど窮屈そうだよ。」と不満がたまった。でも不貞腐れていたのは自分だけだった。海夏自身は前を向いていた。鳥栖戦では素晴らしいゴールを決めた。そしたらなんと左SB全員怪我をした。そして誰もいなくなった状態。そんなことあるかい。海夏だけが残った。海夏が左SBのレギュラーになった。それからの日々は記憶に新しい。見てるサポはヒヤヒヤもわくわくもした。危なっかしい場面もたくさんあった。でも海夏は工夫して努力して徐々に自分のできることを示した。守備で簡単に抜かれることもなくなっていった。FKでは自分が蹴ると主張してバーにあてた。連続した出場機会、そして優勝争い、マリノスで得られたこの機会に吉尾海夏は明らかに楽しそうだった。その日々は自分も正直楽しかった。マスカットは都合よく海夏を使った。海夏推しの俺は不貞腐れた。でも海夏が前向きに諦めなかった。そこでこぼれてきた機会は都合よく使われたからこそ得たものだった。海夏が作った未来だった。そんなシーズンを優勝で終えたかった。けどこの悔しさも関与できたからこその手ごたえだったと思う。来季は明確な飛躍のタイミングになる。ただまたリスタートにもなる。思考が自己責任寄りで割り切りが苦手な海夏だから、スタートで躓くと戻るのに時間がかかるかもしれない。それでも今季の経験があったからこそ海夏自身もサポも諦めずどんな使われ方でも信じ続ける。海夏がマリノスに拘ってくれたことを俺たちサポーターとともに正解の道にしていこう。

 

山根陸

マリノスの未来は、活躍すればするほど価値は増し、未来を共にできる時間は短くなる。24年も共にできるということは23年がベターではあったがベストではなかったことの証かもしれない。右SBでの出場が続いた前半戦、山根畠中角田がいるDFラインにワクワクした。ジョエルの移籍とともにCH出場が増えアウェイ鹿島戦などで一定の成果は示したが、フル出場した天王山神戸戦やYLC浦和第二戦では結果をもたらせなかった。積極的なボールの呼び込みからの相手の位置を把握したターンが技術面での彼の強み。ただ彼のより大きな魅力は知性にある。プレー中でもプライベートでも常に思考をし続けて俯瞰で物事を捉えている。英会話を自主的に勉強しマスカットの話は大体理解できていた。お酒は去年時点で飲んだことがない。部屋に物は少なく、睡眠の質にこだわっている。真面目と言えばそれまでだが、20歳でここまで正しくあれる真面目さは知性の才能だと思う。そんな山根にとって思考の壁打ち相手であったコーチのショーンは貴重な存在だったはず。そんなショーンもいなくなり、フォーメーションも変わりそうな24年。未知数も多いがコツコツ積み重ねたものが華開くにはちょうどいいタイミング。すぐにでも絶対的な活躍をして、マリノスでの未来の時間を少なくしてしまって構わない。「誰が出てもマリノス」は神戸戦での山根の活躍から始まった。大きな活躍とともに君がどこかに旅立っても、誰かがマリノスを体現してくれるはずだから。心置きなく飛躍してくれ。

 

榊原彗悟

個人的に彼や木村卓斗のような選手が好きだ。性格的にやんちゃな選手も魅力的だが、彼らのように頭がよく利他的でチームファーストができてマリノス愛を示せる選手は応援側として信頼を置きやすい。さらに榊原は熱をプレーに込めることができるから、途中出場でも100%を出せる。だからマスカットは一時期海夏ではなく榊原をベンチに置いたのだろう。練習でもベストを尽くす姿は容易に想像がつく。でもまだ身体的や技術面など、質の面で物足りない部分があるのも事実。24年は大卒2年目扱いの24歳になる年。結果を出す必要が出てくるがそれは現状容易なことではない。それでも今のマリノスに所属しているのは19年にユースから昇格した山谷侑士・椿直起ではなく、昇格できなかった榊原彗悟と木村卓斗だ。木村はローンで甲府だが、彼らのような先発でもベンチ外でも100%を示せる選手がマリノスにいてくれることはファミリーとしての価値がある。2人が戻ってこれたことをエモいで終わらせたくはない、マリノスの先発に榊原や木村がいる未来は理想だ。ただその未来がこなくても彼らの姿勢を見てきたファンとしてマリノスにいてくれたことを感謝できる存在で、マリノスでの成功を願いながら結果的にどこかで報われて華開いてほしいと思っている。

www.soccer-king.jp

 

ナムテヒ

ラストピースになりかけた。トップ下が機能不全だった状況でマリノスがした選択はほぼ正解だった。プレーの質が高く、キープ力があり、ようやくマリノスは前線で時間が作れた。しかし良いプレーが断続的で、ゴール関与が意外と少なく、試合を決定づける存在にはなれなかった。ちろん彼だけの責任ではない。一人だけですべてが改善される思考自体が間違っていた。ナムテヒの良いところは、温厚で優しい性格的な部分もあるが、結果に拘るプロフェッショナルな姿勢にある。真面目なチームはやりきることを優先してしまい手段が目的になることがある。ナムテヒは助っ人として海外で過ごしてきた経験が長いからか、結果がすべてなことを確実に理解している。彼の中で「良いプレーをした」「チームとしてベストを尽くした」ことが、「結果」を超えることはない。負けを異常に嫌い、ビハインドでひたすらもがいた。アジア人として異国での助っ人として結果を求められ続けるプレッシャーと何年も対峙してきた存在。戦ってきたものとそこで得たメンタリティはマリノスが近年重ねて得たきた勝者のそれとは違う質のものだ。それが価値になり本当のラストピースになるのは、24年に取っておこう。

 

水沼宏太

活かせるタイミングが狭くなってきたが、示せる姿勢は広がってきた。22年示したピッチ上での価値を23年も同様に生かしきるまでは至らなかった。逆サイドエウベルとの兼ね合いでは戦力理解度がある水沼がいたほうがチームとしてのバランスが取れるが、プレーレベルの若干の下降とともにヤンの向上もあり序列は覆られなかった。更に途中出場からの実効性が落ちたのも厳しかった。それでも、水沼はそんな状況でもチームに価値を示せる。ただのありきたりな好青年風情熱系リーダーではない。正しく言うとそんな時期もあった。ただそこから変化をしてきて、表面的なわかりやすさに、内側の俯瞰的な冷静さが加わり凄みが出てきた。23年は緩急のあるリーダーシップを示した。天皇杯浦安戦のような若いメンバー中心時はあえて直接的な強めの言葉を避けた。サポートは背中で示し、若い選手に独力での思考改善を促した。翌週ベスメン寄りのルヴァン鳥栖戦では強い声を張り上げた。どちらも喜田のいなくCAPとして出場した試合で連勝している。年齢を重ねても残せる可塑性が彼の強みだ。誰かに真似できるものではない。プレー面でもホーム鹿島戦・ルヴァン札幌戦・カヤ戦のように価値を示した試合もある。水沼宏太はプレーもリーダーシップもここまでが限界かなと思わせてからが本番である。24年、彼はどんな姿勢で価値をチームに示してくれるか今から楽しみである。

 

西村拓真(移籍決定前)

あんまり心配はしていない。ただシーズン中に「活路」を見出せなかったことは少し驚いた。他者からの視線に全く動じないスポーツ選手向きの西村の性格なら、苦しみながらも何かしらの答えは見つけてくれると思っていた。だから天王山神戸戦やルヴァン浦和戦での出来は涙を見せた本人はもちろん、見ているこちらとしてもしんどかった。23マリノス総括として、「トップ下を攻撃に組み込めなかった」は外せない。マンツーマンを逆手に取る引き付けながらの前進で、必ずと言っていいほどトップ下で手詰まりになった。背負えず・落としの精度も低く、ひっくり返せるタイミングでロストし、逆にひっくり返されることが続いた。もちろん受け手がポジティブではない状態での爆弾パスが多かったのも事実。ただなべこや喜田が勇気をもって前を向きオープンになりかけで引き渡された数少ないチャンスからでも稚拙なロストは散見された。とにかく前で時間が作れなかった。それにずっと苦しんだのが西村であり、マルコスであった。ナムテヒも植中も解決策にはなれなかった。特に西村拓真はずっと苦しんだ。自分がノッキングの原因になっていることがわかっていたから。西村は典型的な矢印がゴール向きのプレーヤーに見える。そして自陣方向への矢印のプレーが極端に苦手だ。背負う、はたく、フリックする、半身で受けて前を向くなどのプレーができなかった。22シーズンはパターンがハマり勢いで走り切ることができ、さらに常にゴールに向けてのプレーを全員がしていた。その中で特に西村の強みが爆発し日本代表まで上り詰めた。それは弱味が露呈しなっただけだったともいえる。ただ最初にも言ったがあまり心配はしていない。たぶん西村は思っているより強い。活路は24年にとっておこう。ブラジル人に日本人が同等に重なり合うときがマリノスのいいときだ。その役割を西村が担ってくれるはず。居場所を見つけて輝く漢をもう一度見れる日々が楽しみだ。

 

井上健

開幕3戦と4戦目で先発抜擢。真のスピードを持った順足WGにときめいた。特に広島戦前半は無双状態で松原や畠中が楽しそうにスペースにボールを出した。ただそこから徐々に苦手分野が開示されていく。残念ながらいまの井上健太ではスピードという長所をチームに活かせる範囲が狭すぎる。まずオフザボールでいくら速くてもオンザボールは遅い。ドリブルが得意でないから三笘のような対面1on1での0→100ができない。そして何より最後のプレー選択にセンスがなく、精度も低すぎる。でも、不器用プレーヤーとも根気よく向き合い戦力にしてきたマリノスはファミリーだ。健勇がお兄ちゃんしてくれながら、少しずつ幼いメンタルも整えられていく。ベンチ外から徐々に戻ってきてのFC東京戦ではプレー選択に改善も見られた。24年はイノケンにとってどんな年になるのか。肩が治ればすぐに爆発できるのか。飛躍はしてほしいが簡単ではない。個人的にはまずは途中出場から成果を見せてほしい。あれだけのスピードのある選手が途中から出てきて相手にとって脅威でないはずがない。途中からでゴール関与し徐々に自信をつけながら一歩ずつ進化してほしい。ウイングのメンツは23年からの変化はない。30代の選手も多い。井上健太の成長は必要。必要だからこそまずはジョーカーからマリノスの勝利に関与する喜びを覚えてほしい。だってイノケンはCFで途中出場してマンチェスターシティから点取ってるんだぜ。

 

 

FW

ヤン・マテウス

Jで見られる数少ないワールドクラスの右WG。2022のマリノスに途中加入しそのまま埋もれていたヤンマテ。足遅い・剥がせない・パスもクロスも普通・なにより覇気が見えない、途中出場でさまよう姿を見て、高額移籍金を払った価値とはと思ったほど。それでもマリノスブラジル人お兄ちゃん勢の過保護なケアが実り、攻撃のスピードも落とした今季、ヤンマテの能力の高さがマリサポからバレ始めていった。まずはゴール関与。エウベルと違ってヤンマテは最後までプレー質が高い。突破からのクロスや切り返しからのシュートの精度の高さ維持できるのでゴール関与数もおのずと多くなった。そして守備精度。ブラジル人で唯一盤面視野があり、単騎プレスにならず背中で守備ができる。状況がわかっているから大事な場面でプレスバックもできる。最後に、本人嫌がりながら左WGで順足プレーを続けていたからこそ、右WG起用時左足に持ち帰るプレーだけに頼らず右足クロスも織り交ぜ、逆サイドからの対角クロスをファーで合わせるためのポジション取りもできるようになっている。個人とチームがうまく回らないとき、メンタルが落ちてきて不貞腐れてしまう陰キャらしい若さはまだ残るが、だいぶ心の熱をプレーにひめることもできていた。23今季最終盤彼の気合いは伝わってきた。2024はヤンマテウスの年になる。ゴール数を増やせばMVPも狙える。マルコスなど多くの先輩に大人にしてもらったヤンマテ、24は君がマリノスとみんなを引っ張ってほしい。

 

アンデルソン・ロペス

“「最先端」だけが価値ある場所ではない。いまいる場所で「情熱をもって物事を問う」ことこそが、学問の生命である。” ある数学者が語った自分の好きな言葉。ロペスはチャンピオンズリーグで点を取るような偉大な英雄ではない。Jリーグの得点王だ。それでもレベルの違いで価値は変わらない。中東からのオファーを蹴り、優勝はできなかったけれど、得点王は手繰り寄せた。情熱を持てるチームで、情熱を持って戦い、成し遂げたことがある。その時点で偉大なのだ。最先端に惑わされず何に価値基準を置けるかをわかっている人材は少ない。ロペスは貴重な選手だ。マリノスが愛されるチームであったこと、マリノスを愛してくれたこと。とても誇らしい。その結果ロペスはチャンピオンズリーグ王者のマンチェスターシティからも点をとったのだ。福岡戦のゴールに今季のロペスの貢献が詰まっている。特に展開後のゴール前への必死のスプリントをする姿勢。心優しき陰キャ寄りストライカーは本当にマリノスを愛してくれた。ビルドアップの中核からフィニッシャーまで求められる過剰タスクだった。それでもロペスはもともと落ちてきてボール関与することが好きなシャドー寄りの選手。落ちてくること自体が戦術となり忙しいなりに楽しそうに仕事をこなした。ただそのせいで早めにスタミナが切れた。疲れたロペスを交代させてもそのまま置いても機能性はだいぶ落ちたことは、単なる構造上の欠陥ともいえる。ロペスもパーフェクトな選手ではない。プレスはよくなったがまだ若干単騎寄り、背負うプレーで時間は作れない、強引なドリブル突破は最後に絶対取られる。それでも、昨季福岡戦の愚行以来、審判や味方へのイライラの発露は意識的に減らすなどブラジル人選手の中ではメンタル的なコントロールは優れている。点をとれないときが続いても切れずに外ではなく内側で戦った。PKだってうまい。葛藤しながらも成長していくマリノスらしい愛すべきエースであった。

 

エウベル

終盤優勝争いでのエウベルの気合みた?交代で下がるとき走ってるのはじめてみたよ。前半戦では圧倒的感少なかったから、左で1枚はがして中央を侵入していく姿は圧巻、絶対勝ちたいエウベルは本当に魅力的だった。最後の精度意外はトップクラスのWG。マリノスへの愛はしっかりあるが若干気分屋でプレーにムラがあり、特に今季戦術的にCFより前で待機する時間も長かったため、距離が遠くなるから守備はわりかしサボった。それでも収支がプラスになれば問題ないが、気分的なものか、戦術理由か、年齢からくるものか攻撃での絶対感は薄れた。一森→エウベルの魅力的なゴールはあったが単発に終わる試合も多かった。さて24シーズン、32歳になるエウベルサイコロはどうでるでしょうか。去年の借りを返すモチベーションはどこまで維持できるでしょうか。個人的にポイントは「ライバル」にあると思っている。リーグ終盤ホーム札幌戦、疲労マネジメント采配もあって宮市が先発し先制ゴールで活躍。途中で出てきたエウベルは普段なら流しそうな場面でも気合の入ったプレーで1A1G。アンロペだってエウベルだって、自分しかいない環境でも頑張れるプレーヤーだが、危機感があればより力は発揮されていくはずである。宮市・井上よ。サブメンバーで終わらないでほしい。植中だって村上だって。脅かせ。相乗効果だ。それがより絶対的なエウベルをみれるチャンスになるはずである。

 

植中朝日

めちゃくちゃな才能を感じられるわけではない。けれど僕らは点で合わせられる努力型の泥臭いストライカーが華開く景色は何度も見てきた。基本はライン間で勝負できるストライカーだが、今季はトップ下気味に落ちながらのプレーにもトライした。トップ下問題を解決するまでには至らなかったが、どんな出来でも決定機には関与し続けた。そんな活躍した印象はなくてもルヴァンでは得点王を獲得できている。決定機関与は植中の強みで、多かった決定機逸を結果にできればより戦力にはなったはずだ。個人的にはオナイウ味が強いように思う。ポジティブで深く考え込み過ぎないストライカーらしい性格に見えるのもいい。マリノスは選手数が多い中で、計算できる選手は多いが、絶対的な選手は実は少ない。ロペスが1シーズン怪我なく過ごせる保証がどこにあるのか。24シーズンは真に期待しようと思う。リーグ戦での2桁ゴールを取り切ろう。

 

宮市亮

23番を継承し、大怪我から復帰して、柏戦で劇的ゴールまで決めて、定期的に出場できるまでになった。そしてそこから、全体的に大味なプレーが続き、少し物足りなさも感じるようになる。アウェイ横浜FC戦先発。前半の宮市の決定機逸も響いて敗戦。試合後のブーイング。宮市の復帰は嬉しいけれど…、もうちょっと結果を残してほしいと思ってしまう心があった。そして自分は思うのだ。このフラットな評価や心からの悔しさこそ、「ピッチ内での」正当な成果であると。そしてそれは宮市自身が怪我を繰り返す人生の中で心から望んでいたもののはずであると。怪我をしていながらも存在だけでチームに貢献できる、稀有な人間性を持っている。去年大怪我を負った際にサッカーを辞めようとした宮市。その理由は自分が苦しいからではなく、怪我をしてチームに迷惑をかけることを繰り返してきたから。彼は常に他者を想い、自分のことですらも他者を主体にしてしまう。そんな優しさが宮市の最大の魅力だ。そしてその魅力はもちろん先天的な性格の部分もあるが、怪我を繰り返してきた人生を背負ってきたからこそだとも言える。宮市はサッカー選手としての大部分を大きな傷を負いながら過ごしてきた。そこから気持ちを切り替え、リハビリなどで自らを奮い立たせる日々がほとんどだった。人間性とは性格的なものと自らの意志もあると思っている。宮市は苦しい日々でも何にも責任転嫁はせず、意志をもって前向きに生きる選択を繰り返してきた。その日々で彼の人間性は構築され、マリノスや日本サッカーの価値になったと思っている。宮市の価値や魅力は怪我とともに生きてきたからこそより引き出されたのだ。そしていまそんな宮市がチームにいてくれることを感謝しながら、自分はプレーの質を求めていく。存在自体に価値を置きどんな未来が待っていても寄り添う気持ちと、過去にとらわれず今のピッチ内でのプレーの質を求め続けることは両立するのだ。1対1を外す宮市をもう見たくない、ピッチ内で輝く姿に期待している。宮市とマリノスのストーリーにはもっと上があるはずだから。

 

村上悠緋

キャンプで右SBやったらしいと高鳴るも、結果序盤上島や山根陸が使われるのを見てそりゃそうかと。諦め忘れかけたタイミングの9月に爆誕。CF悠緋がSBでどうなっちゃうの!?とワクワクしてけど、割とそのままで細かいことはできないけどスケールはある本職FWらしいSBに。YLC準々決勝札幌H&A、逆転勝ちをしたチームに両試合先発した村上悠緋の存在は覚えておきたい。特に2ndレグは水沼との高連携でハットトリックできるくらいのチャンスをつくり、対面福森をHTでの交代へ。24年はもちろんCF勝負。まずは植中とのベンチ入り対決でどうなるか。もしSB機会あれば目指せ毎熊。

 

杉本健勇

『喜田や水沼だけが良きお兄さんではない』落ちてきてさばくプレーはうまいが、落ちるタイミングは良くない。ヘディングは強いがポジショニングは怪しい。プレー後の悔しがり方などにナルシズムを感じる。結果の出ない日々は自分本位に過ごし感覚的なプレーをしてきたつけを払っているのかもしれない。では愛せない選手なのかというとそんなことはない。ピーキーだからこそ、あんな札幌戦のようなゴールを決められる。それを人はロマンといい、数少ないからこそのカタルシスは大きく、つい全肯定したくなる。2度目のマリノス加入、難しい時期を経験しマリノスのチーム文化にも一度触れて大人になった部分があり、その存在はポジティブな部分もあった。喜田や水沼だけが良きお兄さんではないのだ。精神的にやんちゃな時期から成長していまがある杉本の存在は、真面目であることが正しいと理解しつつ、幼さが残りメンタルコントロールしきれない井上健太のような若手にとって貴重になる。ナチュラルボーンで正解を示せる人間だけのチームはどこか窮屈で、経験則で人間的な幼さと折り合って進む価値を示せる存在は必要なのだ。決してポジティブなシーズンを過ごせなかった選手がチーム愛を示してくれることが多いのはマリノスの誇れる部分だと思う。練習の質の高さや周りの選手の姿勢あたりが起因しているのだろう。監督が介入せずとも、無意識でも緩さが入る隙間を作らないチーム文化がそこにはある。そんな真面目に寄りやすいチームにやんちゃな風を吹かせて若手の良きお兄さんになってくれた杉本健勇の存在、やはり肯定したくなる。

 

 

監督

ケヴィン・マスカット

修正力はなかったが胆力はあった。だからこそうまくいかないことの方が多かったシーズンは2位で終われた。2023年スタート、マスカットはチームを難しい方向(戦術変更)へと舵を切った。チーム文化は継続での成熟が大事だ。ただ、こと手段に関しては、継続のみを選んだ先に繁栄はなく、チャレンジを伴うトライ&エラーは必要不可欠になる。優勝翌シーズンに「チャレンジ」を選んだことが自分は嬉しかった。しかし、現実はそんなにはうまくはいかない。一時的にうまくいく期間もあったが、根本的にはもがく期間の方が長かった。しかももがく期間で、手立てを打てなかった。うまくいかない試合は、後半でも終盤でも改善されず、うまくいかないまま終わった。そんな試合が数試合続くこともあった。それでもブラジル人の個や、マスカット自身の胆力や、柏戦にみられたようなチームの団結力のおかげでかろうじて勝ち点は重ねた。チャレンジした戦術は、価値のあるものだったのかもしれない。しかしそれは必要に応じての選択であり、そこに思想があったわけではなかった。トレンドを加味しながら選ばれたからこそ、付け焼刃の部分もあり、とにかく修正ができなかった。試合中も試合後も必死に皆がコミュニケーションを取った。それでも改善されなかった。もちろん選手の質と選ばれた戦術適正の乖離はあった。それでも根本原因はそこに思想がなかったからかもしれない。だからこそ話し合いがずっとHow toの域を出なかった。それでもチャレンジのメリットは、最終的には原点回帰が使えることでもある。実際マスカットは持ち前の胆力で終盤もろもろ諦めて回帰する場面もあって、それが当たることもあった。ただ最終的には怪我も重なり、結果をもたらすことはできなかった。マスカットはチーム戦術のビルディングは理想寄りで手段の手持ちは少ない。マリノスのチーム文化が整っていたからこそうまくいっていた部分もあるような気がしている。0ベースのチーム作りでの成果が見れるのは今後だろう。それでも個人へのアプローチを間違えたことはなかった。アンジェほどではないが、具体的な言語アプローチは最小限にして、監督として適切なリーダーシップを取り続けた。試合中は審判に不満示し煽りまくっても、会見で余計なことを発信することはなかった。選手から監督への不満が出てくることがなかったことが成果ともいえる。この監督のために頑張りたい。と思わせてくれる監督だった。24年は思想強めの言語で伝える寄りの指揮官が選ばれた。うまくいかなかったときマスカットだったらなと思うこともあるだろう。ケヴィン・マスカットは完璧な指揮官ではなかったかもしれないが、ともに戦えたことを後悔させない監督だった。未来での活躍を心から願える素敵な監督と出会えてよかった。

 

こんなところまで読んでいただきありがとうございました。

映画『BLUE GIANT』感想

涙が流れたのは悲しいストーリーが起因だったかもしれないけれど、それ以前から涙腺に刺激はあった。感動のストーリーで泣かされる映画は多数あれど、ストーリーの眩しさで涙が落ちる映画は傑作しかない。この作品は傑作に近い作品になっている。以前原作漫画を読んで記憶は微かにある。ぼんやりイメージしたときにこの映画は二つの点で成功している。まずは切り抜き方。これだけ原作を大胆に切り取り、端的にしているにも関わらず、展開のハイライトになっていない点が偉大である。ここでの成功ポイントは主人公を無敵にしたことだ。原作では主人公も少なからず人間として葛藤して成長している。しかし映画ではそこはほのめかされているが描かず、ピアノとドラムの葛藤をメインにしている。主人公はこの作品内でずっと正解でずっと強い。ルフィとして置いている。持たざる者のドラムの葛藤と、才能のあるピアノの葛藤、トップオブトップの才能とメンタルを備えた主人公の周りに注目を置くことで展開を最小限かついいとこどりでもハイライト感を少なくできている。二点目はもちろん演奏シーンだ。この作品は原作を読めばストーリー上はより多くの理解と感動を得ることができる。漫画原作映画はそれが基本で、漫画>映画になる。ただこの映画は演奏シーンの素晴らしさで漫画の満足度を超えてさえいる。良作の漫画が映画になって傑作になる。漫画≦映画になっている。演奏の「音」に重きを置くのはまだわかる。この映画は音も素晴らしい。おそらく有名演者が関わっているのであろう。ただその音に伴う、画もまた素晴らしい。一枚画でも作品になるようなレベルの画が連続となり、迫力になる。色まで展開や音にマッチしていく。それは音楽芸術であり絵画アートでもあった。原作映画の重厚感を端的に成功しつつ、そのストーリー展開を迫力の音にのせ、絵画作品の映像にしたこの映画。限りなく傑作に近いといえる。

すべてを捧げることが最善ではないこともある

#横浜FM新潟

おそらく、選手たちはこの試合にすべてを集中させてきていた。
自分たちだけにフォーカスを向けてやれることをすべてやってきていた。
集中できていない選手はだれ一人いなかった。

全員がものすごく高いモチベーションだった。
そして全員が過集中状態だった。
緊張感を楽しめる状態ではなかった。

特に喜田は明らかに空回っているように見えた。
審判にも食って掛かっていた。
エウベルが倒されたシーンでは松原健にもういいじゃないかとなだめられていた。

極端過ぎるハイテンポ状況でも、マリノスには自力があり、チャンスを作った。
1点入れば、絶対に楽になった。ただこの日は運もなかった。
時間が経てば経つほど、選手たちの前のめりな気持ちに疲労が混ざり自分で自分の首を絞めていく。

まだ時間がある状態でも、選手の余裕のなさがこちらにも伝わり苦しくなった。
後半チャンスを決められなかったエウベルやナムテヒは悔しさをあらわにはせず、沈鬱な表情をみせていた。

苦しくても誰もサボらず走った。誰かのせいにしている選手はいなかった。
なんとかしようと全員ががむしゃらにプレーした。

そしてそのまま試合は終わった。
最初から最後まで、0-1で負けているかのような試合だった。
真面目に不器用にプレーして結果に繋げられない今季のマリノスらしい試合だった。
このチームに緊張感を楽しめる鎌田大地のようなプレーヤーはいなかった。

翌朝5時起きで仕事がある自分はダッシュで新横浜に向かった。
もし仕事がなかったとしても監督と主将の言葉を聞いて帰っていたかはわからない。
Twitterも今日まで見なかった。見れなかったのか見なかったのかはわからない。

試合から時間が経ち、今自分は、このチームで優勝したかったと心から思っている。
この選手と、このスタッフと、このサポーターとともに、今季優勝したかった。
だから、すごく悔しい。

リーグ終盤、怪我人続出でチームとしてのギアが上がったのを感じ取れたとき
不器用で真っすぐ頑張ることしかできないチームが、
全員でマリノスファーストを捧げ切った先に、
優勝を勝ち取ることができたら、
それはとてつもなく誇らしいことではないかと思った。

でもできなかった。
やはりすべてを捧げることは最善ではないこともある。

でもすべてを捧げてくれたからこれだけ力を込めて応援できた。
最終盤の選手たちの姿勢を見て、自分にもこのチームのために何かできることはないかと思わせてくれた。
選手とスタッフが捧げてくれた不器用なくらい真っすぐなマリノスファーストは、
自分のようなマリノスファーストのサポーターをもたらしてくれた。

残りの試合も頑張ろう。
最後には気持ちよくありがとうを言いたい。

そして来シーズンは、柔軟性と余裕がある大人なマリノスファーストを見せてほしい。
これからも優勝を一緒に目指そう。

ルヴァンカップ準決勝第2戦浦和対横浜FM

神戸戦同様、感情を言葉にするのが難しい試合だった。
この試合を見て絶望したと書けば、その裏に残っている諦めていない意志は消えてしまう。
ただ切り替えて前向きに応援すると書けば、心に残っている冷めた停滞感は隠れてしまう。
前向きな意志と、前向きになれない思いは両立していた。

そもそも大体のことは、あるともないとも言い切れないものばかりだ。
サッカーチームを応援することだって、意味がないと言えば言い過ぎだけれど、あると言い切るのも間違いという気がする。
浦和に負けてルヴァンカップに敗退したことは自分にとって大きな事件で、同時に取るに足らない出来事である。

試合中の姿勢や重なった怪我、試合後の悔しげな表情やコメント。
闘う姿勢やマリノスの選手としての覚悟が足りていなかったとは思えなかった。
試合から時が経ち、そんな選手たちを信じて、残りのリーグとACLを諦めずに応援したい気持ちが残った。
それでも、今季はもうダメっぽいなという思いが消え去ったわけではない。

選手を諦めずに信じる気持ちと、チームに対する諦めの気持ちは両立している。
残りの試合、マリノス愛は強いけど不器用な面もある選手監督たちを信じて諦めずに応援していく。
選手の頑張りでチームが好転にすることがあることを知っているから。
これは意志ではなく、祈りに近い。

サッカーチームを応援することは、深刻になるにはあまりにも些細だ。かといって真剣にならないにはあまりに尊い
些細な日々を、真剣に生きられた連続が自分の人生になっていく。

#横浜FM神戸

『主体性はどちらに』

神戸の選手たちに、やらされている感はなかった。
どちらかというと個人頼みの現実的な戦い方の要素が強いサッカーで、マリノスのようなファミリー感も薄い。
それでも神戸はチームになっていて、むしろ嬉々として全員がこのサッカーを信じてトライしていた。

昨季の最終戦、自分は神戸でマリノスの優勝を見届けた。
周囲が神戸サポの中で静かに喜びをかみしめた。
周りの神戸サポの空気はマリノス強いから仕方ないよね。的なおおらかな印象で負けた殺伐さはなかった。

この試合でもトリコロールギャラクシーの間に聞こえてきたブーイングは、スプラッシュの時のガンバ大阪FC東京のものに比べると控えめだった。

おそらく神戸はサッカー文化が発展途上にある。
歴史を作っている過程にある。
(それでもイニエスタの送り出し方は素敵だったと思う)

チームを強くする過程は簡単なものではない。
素晴らしい選手と現代的な監督を揃えただけでは成功しないことが多い。
そのチームとサポーターの歴史、その土地の地域文化も、組織内には根付いていて、最大値の出し方は複雑性を増してくる。

世界的なプレーヤーを一人いれ、戦術的な名将も入れて、サッカーから現代的で強くしようとした神戸。
天皇杯優勝という結果は得たが、継続的な強さは得られなかった。
手法がサッカー文化はまだ発展途上にある神戸の街や組織にハマらなかったのかもしれない。

大迫勇也・武藤嘉記・酒井高徳・山口蛍はチーム愛も示せるがプロフェッショナルな傭兵感もある。
この選手に合う戦い方を示し、この選手たちがチームに導き、成功体験を重ねてチームにしていく。

取られた選択肢は、属人的で、現代サッカー要素も少ない。
でもだからだめ、より難しい現代的な方にトライしている方が正義というわけではない。

『いまの神戸』での最大値の出し方は、これが正解に近い可能性があるということが大事なのだと思う。

 

直近での失敗体験の重なりでビハインドが疑心暗鬼に繋がったマリノス
チーム力の差はなかったが、信じる力には差があり、勝ちをこちらにこぼれ落とせる可能性は低かったように思う。

『いまのマリノス』にとっていまの手法は最大値の出し方として正しくないのか。
「変化」は絶対必要だったと思う。昨季のままならより悪化していた可能性もある。
少し難しいことへのトライはマリノスを強くするうえでの必要なものであったと確信している。

ただ取られた選択肢が、選手の特性上とアタッキングに魅了されてきたサポーターの性質上、アンバランスだったように思う。
そのアンバランスさが正解への道を極端に狭くしてしまっているように思う。

では、正解に行けなかった今季を失敗としてもう諦めるのか。
そんなわけがない。
神戸は優勝に値するチームだが、絶対的な強さはない。
勝ち点差4で残り5試合で諦めるわけがない。

マリノスはファミリーだ。
不器用だけど優しくチーム愛に溢れる選手が多い。
それは強みでも弱みでもあるが、団結しないで逆転できるはずがない。
チームで熱を持って、勝ちをこちらにこぼせる可能性を上げていこう。
勝ちをもたらすための最善を尽くそう。

勝とう。
結果を得よう。
優勝して反省しよう。

日々俺も大事に過ごしていこう。

#鹿島横浜FM

『途中で気づけたのはこのサッカーでの熱のこめ方』

 

ゆっくり攻撃はプレーに想いの熱をこめるのが難しい。
今日も円陣後気合が入りまくった状態で試合が開始して、セットオフェンスが引っかかり続け、熱い気持ちが行き場を無くしていった。
無理やりハイプレスで発散しても空転しピンチにつながる。

 

そんな中「30分以上経過してはじめてマリノスのビルドアップが成功した。」by福田さん
この31分ごろの中央でゾーン突破してからサイドへの展開成功をきっかけに、押し込める攻撃ができるようになり、得点も生まれた。

 

1回のビルドアップ成功で「あ、こうやって力を使えばいいんだ」と全体が気が付けた感。
球際でマリノスの選手にボールがこぼれる回数が増え、味方のパスコースを確保するポジショニングとフリーランニングで、ずっとマリノスのターンの時間帯を増やすことができた。

 

完全にマリノスタイムになっている時間でも、なぜか決定的なピンチも常に同居する、リスクヘッジと試合クローズの幼さっぷりはなんとかしてほしいが。
今日は前線のクオリティと喜田なべこの献身だけでなんとかした試合ではなかった。
みんなで苦しみを試合中に乗り越えたという価値のある試合だったことが嬉しい。

 

この久しぶりのリーグ戦後のおだやかな気持ちに触れて、ここ最近何度も試合後のモヤモヤと頑張って戦ってきたんだな俺も、と気づけた。
みなさん苦しい日々お疲れ様でした。サッカーファンであり続ける限り、またすぐくるでしょうけど、あの苦しみ。また一緒に乗り越えましょう。

 

さて、神戸戦は久しぶりに現地で観れる。
選手に負けじと、俺も振り返ったときに後悔のない日々を神戸戦まで過ごしていこう。
当日しっかり応援に熱をこめられるように。

行きつけのカフェがある。

行きつけのカフェがある。毎回同じアイスティーを頼む。
あるとき、いつも通りアイスティーを頼んだ後、「ガムシロいりましたっけ?」と聞かれた。
「いりません」とこたえると、次からガムシロップはいるかの毎回の確認がなくなった。

 

個人的にはなくなってほしくなかった。
たしかにガムシロップは今後も不要かもしれない。ただ、選べることが自分の安心だった。
同じ選択をし続けても、選んでいるという認識を残しておくことは未来の自分の変化に対するゆとりになる。

 

今後も選ばれるものと選ばれないものがある。
選ばれないからだっといって不必要だと排除する必要はない。

 

苦しいときは選んでこなかった選択肢も総動員して乗り越えるしかないのだから。

 

「注文は?」
「アイスティーでお願いします。」
「かしこまりました。」

 

厨房に戻る店員のおばさんに「すいません」と声をかける。
「はい?」

 

「今日はガムシロップもらっていいですか?」