Akari

marinosのことがメインなはず

#ルヴァン札幌横浜FM

終了間際の決勝点なのに、小柏は淡々と喜んでいた。
さも決めて普通といった印象だった。
この試合は点を取り合う好ゲームであったが死闘ではなかったことがわかる。

横浜FC戦で感じたのは「もったいなさ」、柏戦は「虚無感」、この試合は「ありきたりさ」を感じた。
リーグ連敗中のカップ戦で普段ベンチのメンバーが良いプレーを見せたが、退場者もあり、結局逆転負けを喫した。
少しの期待感と結局負けた結果への不信感。
心に残った感情のどこを切り取っても、ありきたりな印象にしかならなかった。

この日自分は仕事終わり上司に飲みに誘われた。
仕事中から何となく誘われそうな空気を察してはいた。
上司と自分と部下の三人での飲みは楽しかった。
上司と二人して部下を「おまえのここがダメだ」といじったりもした。
終わったあとの帰りの地下鉄で、もう心はさっきまでの飲み会を消そうとしていた。
おそらく部下も同じだろう。

帰ってシャワーを浴びて、結果を知らないまま録画した試合を再生した。

もちろん村上悠緋のプレーには心が動いた。
右SBでもフォワードである価値を示そうとした。
けれど、ゴールは決められなかった。同点とされた場面ではボールに届かなかった。
高揚感は持続せず、淡々と試合をみて、退場でも「そりゃそうだな」と思い、そのままマリノスは逆転で負けた。
悔しさも大きくはならなかった。

そのまま淡々とテレビを消して日常に戻ろうとした。
そのとき喜ぶ札幌の選手をうつしている後ろで響く聞きなじみのあるチャントが聞こえてきた。
しばらくそのチャントを聞いてからテレビを消した。チャントが心に残り、ようやく心が負けた悔しさを感じ始めた。

それでも日々の中でこの試合は何事もなく過ぎ去ってしまった。
それが寂しくて、悔しかった。

けれど、幸い連戦である。良くも悪くもすぐに次がある。
カップ戦のビハインドにマリノスは極端に弱い。
だからこそ乗り越えて勝ち切ったときに自分とチームが得られるものは大きい。

成し遂げれば、この過ぎ去ったルヴァン札幌戦ファーストレグはターニングポイントに変わるかもしれない。
過ぎ去った過去は、今と少し先の未来の繰り返しで変えていくしかないのだから。