Akari

marinosのことがメインなはず

仲川輝人

以前の仲川への個人的な印象は「プレーをあまり見たことがないけれど、何故か愛してしまう選手」だった。
誰かがファンからカルト的人気があると評した。とても的を得ていたと思う。
期限付き移籍を繰り返しつつも度々公言していたマリノスへの感謝と愛、そして見た目などもカルト的人気に影響していたと思う。

いまだと吉尾海夏がそれに近く、山田康太もその素養があった。

カルト的人気は大衆に刺さらず終わることも多い。
それが本人の不断の努力でJリーグ年間MVPをとり、
マリノスファンのみから知られ愛される選手が、リーグを代表する選手となってくれた。
ファンはその過程を目撃し、最高の幸せを享受することができた。

別分野で例えると、金属バットがもしM1を制していたらの世界線を、お笑いファンが楽しめている状態に近いかもしれない。

ダビド・ビジャは仲川を元バルサのペドロ的な選手と表現した。身体的な強みはないが、ポジショニングと初速と決定力に優れたプレーヤーである。
仲川のプレースタイルは対戦相手としては対策がたてやすく、怪我も重なったため、2019が異常であった決定力も落ち着くと、その後の活躍度は落ち着いていった。
ちなみに2019年の仲川のゴール期待値は10.42で実ゴールは15点。驚異の+4.58の上振れである。完全にパターンにハマっていたことがわかる。

2019年の活躍が一過性のもので終わる可能性があった。しかし仲川は一発屋芸人では終わらない。
2022年本人の不断の努力とチームのサポートもあり、交代でチームに活力を加えるゲームチェンジャーとしての役割でチーム優勝に多大なる貢献を果たした。
マリノスファンは仲川のおかげで、2度の最高の多幸感を得られることができた。

2度の栄冠のあと、仲川は移籍を決意する。
それを知ったときの自分の中に去来したのは寂しさで、最後に残ったのは納得感だった。

仲川とマリノスファン、相思相愛の関係性は行き着くところまで来てしまったのだ。
関係性がもたらす結果の最上級に行き着き、天井を叩いてしまった感覚が仲川にはあったのだと思う。
正直自分も仲川とマリノスとの未来にこれ以上は見えなかった。

だから離れた。
離れることでしか深まれないところまで関係性が至っていた。

もし、期待されて移籍したFC東京で活躍できず批判を受けたら、マリノスファンはどう思うか。
FC東京で活躍してファンに愛されることが、マリノスファンにとっても嬉しいことなのである。

今回の移籍はFC東京のファンだけでなく、マリノスファンとの関係性の中でも、
絶対に成功して結果を出さないといけないからこそチャレンジングなのだ。
悩んで考えきって、仲川が選んだこの難しい選択肢を自分は心から尊重している。

その意味では今回の試合はとても良かった。
仲川がFC東京で必要とされ愛されていること、プレー面でも貢献していることが伝わってきた。
1アシスト以外でもよいプレーがたくさんあった。
試合後仲川が見せた笑顔には、他チームでも自分の価値をマリノスファンに示せた安堵感もあったのではないかと思う。


今後
仲川輝人FC東京のために全力で戦い続ける。
マリノスファンは仲川がいなくなったあとのマリノスの選手を全力で愛する。

強いつながりは残したままで。


おまけ

仲川を表現する言葉で「勝者のメンタリティ」というのをよく目にする。
本人もFC東京移籍の際に発信していた。
https://www.dazn.com/ja-JP/news/j1-league/2022-1105-nakagawa-teruhito-yokohama/bfyuzsottrmd152t2p51hqw75

2019年に蒼井さんが使っていたことが発信となっている気がする。
勝者のメンタリティは勝者になったから得られるものじゃない。
勝者になる過程で、際立っていたからこそ、持っていることが判明したメンタリティだ。
2019年シーズンからずっと仲川は言葉ではなくプレーで、他の選手に貪欲に勝ちにこだわる姿勢を見せつけてきた。
試合終盤でこそ誰よりもプレスバックをした。中途半端なプレーをした選手に強く不満を表した。
チーム得点王がそこまでする姿勢は気分屋のエリキやマルコスなどに確実に響いた。
マルコスはその後、チームのためにやりきる姿勢を他のブラジル人に伝承する役割を果たしている。
仲川はマリノスに結果だけでなく、勝ちにこだわり最後までやりきる文化も残してくれた。